2012年9月3日月曜日

ヤギの熱中症対策

今年は各地で猛暑が続き、人間も大変ですが、
ヤギの世話をする方々のご心労をお察しします。
下記、今井明夫さんが質問に回答された内容をコピーします。
ご参考まで。




子ヤギの離乳時期の体調管理はとても難しいものだと思います。
飼育農家から子ヤギを1.5~2か月で引き取って今井農園で1か月ほど
離乳馴致の期間を設けてから各地の小学校へ入学させるのですが、
今年は約20頭を育てました。
 
ヤギの反芻胃が発達して、草を順調に消化吸収できるのは3か月と
されています。子ヒツジの離乳時期は4~5か月としています。
この離乳の時期には栄養の充足と同時に反芻胃の発達に合わせた
草類の質(繊維が柔らかくて消化の良いもの)が問題になります。
母乳を飲みながら胃袋を作り3~4か月で離乳するのが理想的なのです。
 
軟便状態から下痢が始まったら早期に治療しないと反芻胃に住み付いた
消化微生物がいなくなりますから、回復するまでに時間がかかります。
小学校では症状が悪化するまで見ているために手当てが遅れること
多いのです。
 
症状ごとに治療法は違いますが、食欲があって下痢の初期状態では
コクシジュウムによる場合が多く、まず下痢止め+コクシジウム薬を2~3日
飲ませます。そして栄養補給として赤ちゃん用粉ミルクを200cc2回
与えます。これは下痢による脱水症状を起こさないように補水する意味も
兼ねています。
 
コクシジュウムは獣医さんが糞便検査で見つけてくれます。
コクシジュウムが原因でない場合にはウイルス性下痢と消化管内寄生虫
(特に捻転胃虫)が要因として考えられます。
コクシジュウム薬で下痢が止まらない場合には駆虫薬(リペルコール)を
ミルクと一緒に飲ませますが、薬量を守って1回だけとします。
それでも症状が改善しないようであれば獣医さんに抗ウイルス薬を注射して
もらいますが、今年は獣医さんに1回もかかっていません。
 
ある小学校へ入学した子ヤギの下痢が続いて脱水症状から起立不能
食欲なしの状況に至ってから連絡があり、当農園に引き取って治療と回復に
努めて1か月以上かかって学校へ帰した例があります。
ミルクと栄養剤を与え、ヨモギと桑の葉を給与しました。完全に食欲が戻って
からミルクをやめて野菜ジュースを1日1回与えました。
 
熱中症は急激に脱水症状が進み食欲もなくなります。食欲があるうちに補水と
環境改善してやることが必要です。
腹が張っているように見えるのは胃の機能が低下して消化が進まずに食滞を
起こしていることも考えられます。
その場合は第一胃機能促進剤(トルラミン)を10g×2回3日ほど飲ませます。
 
以上簡単に思いつくままを書きましたが、富山県畜産研究所にヤギのことを
よく知っている獣医さんがいると聞いていますので相談してください。
富山県畜産研究所(天野副所長、廣瀬酪農肉牛科長):076-469-5921
 

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